水理模型実験
新潟港湾空港技術調査事務所では、新潟県から福井県にわたる4県の港湾を管轄しており、港湾工事に必要な技術開発・調査・水理実験・設計を実施しています。
当事務所が所有している水理実験場では、港内の波の高さや向きなどを調べて最適な港の構造物の配置を検討したり、様々な大きさの波を作用させて、波に対する構造物の安定性を検証する水理模型実験をしています。
現在では、コンピュータによる数値解析(シミュレーション)が発達していますが、数値解析(シミュレーション)では対応できない複雑な水理現象の解明に、水理模型実験が大きな力を発揮します。
当事務所の実験場は日本でも最大級の水理実験施設であり、広範囲を三次元的に再現できる平面水槽が二つ(大きい方の平面水槽は25mプール約6個分の広さ)と、設置した模型を横から二次元的に観察できる長水路(断面水槽)とがあります。建物内の面積は約4000m² あり、大きな水槽があるため中央部には柱が1本もありません。
設備
分類 | 造波装置 | 造波能力 | 発生波の種類 | ||
形式 | 造波装置延長 | 最大波高 | 周期 | ||
多方向不規則波 造波装置 |
ピストン式 (連絡型) |
50cm/台×12台=6m (A水槽) 50cm/台×72台=36m (B水槽) |
規則波: 35cm(模型値) 35m(現在値) |
0.4~4.0秒(模型値) 4.0~40秒(現在値) |
一方向規則波(斜め波含む) 一方向不規則波(斜め波含む) 多方向規則波 |
---|
※現在値は模型縮尺1/100に換算した場合
反射実験(平面水槽A)
防波堤の形状を変えながら、防波堤から反射する波を計測し、波の反射を抑えた防波堤の形状を確認するため実験します。
海岸構造物配置実験(平面水槽B)
潜堤が波に対してどのような影響をあたえるのか構造を変え、波高や流速などの計測および観察を行います。
この結果を設計等に反映します。
※ 潜堤とは、水面下に没した消波構造物
安定実験(長水路(【断面水槽】)
防波堤や各種ブロックが波に対してどのような挙動を起こすのかを観察・計測をして、構造物の安定性を検証します。 また、多様化する要求性能に対して、防波堤の新たな構造形式の開発にも使用しています。
静穏度実験
波による港内波浪特性を再現することにより、港湾施設の最適な配置を検討します。
造波機
人工的に波を造り出すことができる装置です。取り付けられた1枚1枚の造波機を独立して動かすことによって、実際の海に近い波※ を起こすことができます。この造波板の動きは、蛇のうねる様子に似ていることから、「サーペント(蛇)型造波装置」とも呼ばれています。
※ 多方向不規則波:様々な方向から来ている、大きな波、小さな波、長い波、短い波が互いに重なりあってできた波。
計測台車
この台車は水槽上を自由に移動することができます。指定した場所に次々に移動して、台車に取り付けた機器で、いろいろな地点の波の高さや流れの速さを計ります。水槽中央部での観察も、この台車を使って移動することで、真上からの観察が可能です。
水槽制御・データ解析室
波を作る造波機や計測台車をコントロールしたり、計測されたデータを集め、解析をする部屋です。造波機のコントロールはコンピュータに波のデータを入力し信号を送り稼働させています。計測されたデータを解析する多くのコンピュータが配備されています。