サクション基礎

 防波堤や岸壁などは巨大な構造物であり、その大きな重量を支えるため強固な基礎が必要となります。

 従来工法では、数十~数百kgの石で基礎(捨石マウンド)を築造しますが、近年の構造物の大水深化に伴い大きな捨石マウンドが必要となり、建設費増加の要因となっています。

 また、地盤が非常に悪い場合には、床掘・置換(より良い土に入れ替えること)も必要となります。
このため当事務所では、一層の建設コスト縮減を目指し、巨大な港湾構造物を支える新たな基礎として、サクション基礎の開発を行いました。

 このサクション基礎は、湯飲み茶碗を逆さまにした形に似た基礎構造物で、基礎本体を直接地盤内に根入れするため、高い安定性を持つと考えられます。

サクション基礎の特徴

サクション基礎の特徴

  1. 捨石マウンド、床掘・置換を必要としないことから構造断面が小さくでき、工期短縮が図れます。
  2. 特別な施工機械が不要です。サクション力を与える排水ポンプ、据付調整用の起重機船があれば施工可能です。
  3. 根入れすることにより基礎底面の地盤の摩擦力と基礎背面の土圧が抵抗力となり、滑動に対する抵抗力が十分に確保できます。


サクション基礎の特徴

混成堤(従来型)

サクション基礎の特徴

サクション基礎防波堤

開発年度

平成9年度~平成13年度

サクション基礎の沈埋方法

 サクション基礎の沈設方法はまず、基礎の開口部を下にしたまま海底地盤上に設置します。
 基礎内側が海底面によって密閉されたところで、ポンプを使って内部の水を強制排水すると、基礎内外に水圧差が生じます。この水圧差により発生するサクション力を地盤内への押込力として利用して沈設します。

サクション基礎の沈埋方法

適用構造物

適用構造物

岸壁としての適用例
(サクション基礎と上部ケーソンの一体型)

  • 防波堤の基礎/マウンドレス防波堤
  • 岸壁、護岸の基礎/耐震強化岸壁
  • 係留ブイ/サクションアンカー
  • 浮体構造物基礎、洗掘防止のための根固めなど


国土交通省北陸地方整備局新潟港湾空港技術調査事務所
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