リプレイサブル桟橋

背景

 港湾施設の多くは高度経済成長期に建設されており、桟橋を含む多くの港湾構造物の老朽化が進行している。

 今後建設から50年を迎える施設が急増していく中で、施設の建設や維持管理に要するライフサイクルコストを低減させていくことは喫緊の課題である。

 また、港湾構造物の中でも桟橋の上部工は塩害による劣化が生じやすく、定期点検診断においては上部工下面の目視調査が必要とされるが、暗所での作業となることや、波浪や潮位による作業時間の制約を受ける等、容易に点検作業が行えないことが課題であった。

 そこで、塩害を非常に受けやすい環境にある「桟橋上部工」に着目し、桟橋供用中でも点検診断や維持補修のために部分的に床版を取り外すことが可能となる設計法・施工法を確立することで、将来必要となるライフサイクルコストの低減に資することを目的にリプレイサブル桟橋の検証を行った。


     

桟橋上部工の劣化事例             桟橋上部工の点検状況


技術概要

 桟橋上部工のうち床版部分をプレキャスト化するとともに、供用後に取外しや交換が可能な構造である。

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 リプレイサブル桟橋の特徴 

床版及び梁の点検診断が容易

突発的な事故等による損傷及び老朽化に対し、部分的に取り替えが可能

供用しながらの施工が可能

プレキャスト化により、現地での施工省力化や工期短縮に寄与

取扱貨物量の増加や機械の大型化に伴う床版への荷重増に対応が容易

ライフサイクルコストを低減できる可能性が高い。



リプレイサブル桟橋施工イメージ図

            (「高性能桟橋上部工の構築に関する共同研究」より引用)




<点検のメリット>

陸上からの目視点検が可能

照度向上により、点検が容易

劣化部材の取り外し、交換が可能

  

     通常の点検イメージ              床板が取り外し可能な場合の点検イメージ 


実証試験

 参考文献「高性能桟橋上部工の構築に関する共同研究」港湾空港技術研究所・日本埋立浚渫協会2008.3を踏まえて、伏木富山港(新湊地区)岸壁(水深12m)にて現地検証を実施した。


<現地位置図>


    伏木富山港 新湊地区 岸壁(水深12m)位置図



<桟橋上部工の設置、試験状況等>

    

   リプレイサブル床板製作状況           床板の設置状況             動的載荷試験実施状況

    

    施工性確認試験実施状況(左:床版撤去、右:床版再設置(据付))           桟橋詳細(模擬)点検状況


港湾技術パイロット事業の評価結果(令和5年4月14日)

https://www.mlit.go.jp/report/press/port05_hh_000249.html


設計・施工技術マニュアル

技術の詳細は「リプレイサブル桟橋設計・施工技術マニュアル(案)令和2年3月」を参照(令和5年8月公表)

「リプレイサブル桟橋設計・施工技術マニュアル(案)」更新履歴

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